Common Mode Filter / TVI

1999/10/05 00:00:00 JA5FNX ja-eme@bun.dokidoki.ne.jp
コモンモードフィルター / TVI
皆さん今日は!八幡浜の田村です。

なぜ?コモンモードフィルター?TVI?500W/1KW変更申請書類

1999年10月から電波防護指針(電波法施行規則改正)が改正されると言うことでJA5FNX/JH5FIS/JH5AKHは息切れ駆け込みで50MHz500W、HF1KWの申請を行いました。残念ながらEMEの500Wは「電波防護指針が落ち着いて申請してください」の一言で延期になりました。。(悲しかった・・・・)
申請が9月の頭、検査日が9月28日と言う強攻な、500W,1KWへの変更申請でした。さて、ハイパワーの申請は今回始めての経験でした。8月30日に四国電気通信監理局にお邪魔し小林様に色々とお話をお聞きしました。第一声が、コモンモードフィルターを知っているか!?と言う小林様のお言葉でした。もちろん知っていましたが・・・・・少々面食らいました。まさか電監の方の第一声・第二声がコモンモードフィルター等でキチンと対策をして検査を受けてください・・・とは思いませんでした。その後、何度も、何度も電話で指導していただきました。「小林様有難う!」小林様の指導のおかげで新しい申請のしかたを学んだような気がしています。と!言うのは、まず、メーカ製で申請するのだったらブロックダイヤグラムなんかを、くどくど書かずに(でも、書きましたが・・・)そのメーカー製の機械をどのように設置して、どのようなTVI防止策をこうじてるか・・・と言った、機器周辺をきちっと書きなさいと言うようなことです。

TVIが出ていないやろうから?たぶん、ローパスフィルターはいらんやろう・・・・
TVIが出ていないやろうから?たぶん、コモンモードフィルターはいらんやろう・・
真空管のリニアアンプだから??たぶん、高調波は多分大丈夫やろう・・・・・・・・

といった、アマチュア無線的な感覚ではなく。
TVIに関するものに関してはプロに近い感覚で対応並びに対策を行って申請書を書きましょうと言う感じです。あくまでも、想像ですが、電監としても、いくら、TVIが出ないと言っても何も対策をしていない局には免許を下ろしにくいという感じではないでしょうか?

フィルターも市販品は高価だから・・・・

なんでも、ローパス、なんでも、コモン・・・なんでも、RFインクワイヤリー・・・・・には、少し、反抗したい感じもしますが、今の日本には、ある程度まともなコモン・ローパスはRFインクワイヤリーしか無いのかもしれません。ローパスフィルターは、測定器が無いのでRFインクワイヤリーにして。。一番沢山いるのはコモンフィルタかなーと言う感じで安く作る試みを行いました。

部屋中に高周波電流を流しちゃだめょ!

コモンモードフィルタを使うのは送信機/受信機/受像機周辺のケーブル外皮に送信電波の高周波電流を流したくないと言うことです。その結果として得られるものはTVI激減、送信機の安定動作、マルチバンドオペレーションの快適化等があります。これからの時代は送信機/受信機/受像機から出る各端子のケーブルにすべてコモンモードフィルタを装着する必要があると思います。一本でも手を抜くとあとでえらい目にあいます。

コモンモードフィルタに使えるコアは?

コモンモードフィルタは、阻止しようとする周波数におけるインピーダンスZの大きさで性能が決まります。
(沢山いろんな種類のコアを送ってくれたJK1HIX森田さまに感謝、また、TDKの大きいコアを安く譲って頂いたJO1XEL島根さまに感謝します。)

EMIコアと呼ばれているハイミューのコアの規格表には

Initial Permeability(初透磁率)
Loss Factor@Frequency(相対損失係数)
Dimension(寸法)

そして、

コモンモードフィルタの阻止抵抗度である

Impedance(Z)の様な数値がのっています。

しかし、ジャンクのコアや規格表に載っていない低い周波数のZが知りたかったりします。

Zはどんな測定器ではかれるの?

ハイミューのコアはコンデンサーとディップメーターでLを計るのも難しいしと・・思っていて・・・・ふと・・1KW免許の先輩であるJR5BMM局がクラニシのアンテナインピーダンスメータと言う物を持っていたのを思い出し、これで測れるのではと・・借りてきました。 やっぱし、貧乏ハムだな~~~ Tnx JR5BMM

この測定はJH5AKHと一緒に試しました。結果は大成功でコアの規格表に出てるZに近い値が得られ、結構遊べました。測定結果は下の表をご覧下さい。

送信機側でのコモンモードフィルタ

どれ位のZが必要か?

送信機の各ケーブルに入れるコモンモードフィルタのインピーダンスZはどれくらい必要なのでしょうか?これは場所により条件がかなり違うと思われます。体表的なコモンモードフィルタの商品にCF5KV (RFインクワイアリー)があります。このコモンモードフィルタは両端に同軸コネクターが装備されておりトランシーバーとアンテナの間に接続するようになっています。CF5KVの取扱説明書によると、1.9MHzで800オーム/14MHzで38000オームとのインピーダンスZの表示があります。と??!!いう事は、1.9MHzで800オームあればコモンモードフィルタの商品として売れるということなので1.9MHzで800オームを一応の目安とします。

どのように作るの?(トランシーバー出力ケーブル用・電源ケーブル用)

コモンモードフィルタを入れる場所によって巻き方・ケーブルの太さ等が変わりますが一つのコアに沢山巻くと入り口/出口の等の線間浮遊容量でのコモンモードアイソレーションが悪化しますので少ない巻き数かつ入出力が離れていた方が有利です。また、インピーダンスZはコアへのケーブル通過回数の二乗倍になります。
入り口/出口の等の線間浮遊容量が気になるのは高い周波数ですので50MHzより上専用に少ない巻き数のコアを直列に入れるのも良いと思います。
さて、1.9MHzで800オームを確保するには5D2Vのビニール外皮を取り除いた物にビニールテープを巻き全体を絶縁し(そのままだと2回巻けないのでケーブルを細くする)ZCAT3035-1330 (TDK)に2回通し、それを四段直列構造にします。
コアとコアの間隔は一センチから二センチで良いです。2回巻き四段直列にすれば1.9MHzで約1040オームのZが得られ、14MHzで2400オームのZが得られます。また、電源ケーブルでお使いの場合は同軸ケーブルを電源容量に応じた電源用ケーブルに変更しコアに巻いて作ってください。

Initial Permeability(初透磁率)が大きいコアを使った場合低い周波数と高い周波数でのZの差が少ないと感じられます。

コアに巻くケーブルは、ある程度細いケーブルの方が沢山巻けますので使いやすいのですが通過させる周波数とパワーによっては5D2V以下のケーブルでは問題のある場合がありますので必要に応じてテフロンケーブルなどをお使いになると良いと思います。
また、大電力並びに50MHz以上の場合ロス・発熱が問題になりますので10D2Vのビニール外皮を取り除いた物にZCAT3035-1330 (TDK)を10個~20個通し必要なZを得る方法が良いと思います。VHFに使用する場合は、5個位の少ない数で十分でしょう。また、コモンモードフィルタに大電力を通す場合SWRを下げておく必要があります。SWRが高いとコアが発熱しますのでご注意ください。

どのように作るの?(トランシーバー制御線用・マイク用・ALC用・アース用)

制御線用の場合はケーブルが細いので小さなコアに巻き数を増やして使うことが出来ます。

どこに入れるの?(アンテナマッチングボックス(アンテナカップラー)用)

T型・ロングワイヤー形などの接地型アンテナを使う場合アンテナカップラーのアースにコモンモードフィルタを絶対に入れないで下さい。アンテナカップラーのアース端子は直接最短距離でRFグランド(高周波グランド)に接続して送信機とアンテナカップラーの間にコモンモードフィルタを入れてください。送信機(リニアアンプ)のアース端子はコモンモードフィルタを通して保安上のアースへ接続してください。
また、アンテナカップラーに非接地アンテナも接続する場合、非接地アンテナとアンテナカップラーの間にコモンモードフィルタを入れます。特にアンテナカップラーにアンテナ切り替え機が付いている場合はアンテナ一本一本にコモンモードフィルタが必要です。

受像機側でのコモンモードフィルタ

どれ位のZが必要か?

さて、コモンモードフィルタのZはどれ位必要なのでしょう?、大まかに言えば閉じた回路(コアの先が長ーーーいケーブルの浮遊容量でアースに落ちているとか、ループになっているとか)の場合には、あまり多くのZは必要とされません。また、ローバンド障害でバッテリー駆動のTVに繋いだ長ーーーいアンテナケーブルの末端に入れるコモンモードフィルタのZはかなり多く必要になると言うことです。

ハイパスフィルターとコモンモードフィルターの違い

並行型ハイパスフィルターの両端に4:1のマッチングボックス入れた物のコモンモード特性はハイミューコアを使ったコモンモードフィルターに非常に良く似た特性をしています。ただ違うのは並行型ハイパスフィルターを使った場合はハイパスフィルターの露出されたの部分から電波が浸入し障害が出る場合が多くあると言うことです。という事は並行型ハイパスフィルターを取り付けるとある種のTVIが増える場合が有ると言う事です。これはHFのTVIは止まったけど50MHz/144MHz/430MHzで障害が出る事が有ると言う現象です。ハイミューコアに同軸ケーブルを巻いたものは直接飛び込みが大変少なくフィルターを追加した事による別の障害の発生は非常に少ないと思われます。ミハル通信のCBストッパーもコモンモード特性は良いのですが、コモンモードアイソレーションをとりたい為のプラスチックケースの悲しさで直接飛び込みは大変多くこういった障害が発生します。

本当に効くのか?

今回のTVI対策でZが一番多く必要だったのは「1.9MHzの家のTVI」で、当局の1.9MHzの送信アンテナは、3.5MHZ DPのT形接続にMFJのバリLカップラでマッチングをとって1KWを供給しています。しかしT形のフィーダーとテレビアンテナのフィーダーが何メータも、もつれているとかの問題がありテレビアンテナのフィーダーをテレビから外しそこらの金属に近づけるとピャーと花火が出るくらいの電位になっています。僕の部屋のテレビの画像は全チャンネル死んだ状態でした、隣のテレビも同じ状態でした。これは?!止まるかなと言う状態でした。
ZCAT3035-1330 (TDK)三個に1.5C2Vを13回巻いて1.9MHzで約30KオームのZが得られます。それをテレビのアンテナに通すとピッタシTVIが止まりました。この1.9MHzのTVIはミハル通信のCBストッパーでも止めることが出来ました。しかし、CBストッパーへの直接飛び込みによる50MHz送信時の2チャンネルへの障害が発生しました。V・UHFの送信設備が無い所ではミハル通信のCBストッパーも良いと思われます。

インピーダンス測定 測定器 Tnx JR5BMM クラニシアンテナインピーダンスメータ
フェライト名称 1.9MHz — Z 14MHz — Z
1回巻 2回巻 3回巻 1回巻 2回巻 3回巻
ZCAT3035-1330 (TDK) 65 260 585 150 600 1350
ZCAT2035-0930 (TDK) 50 200 450 125 500 1125
ZCAT2032-0930 (TDK) 45 180 405 130 520 1170
秋月150円コア黒(中) 35 140 315 140 560 1260
ZCAT2132-1130 (TDK) 30 120 270 90 360 810
ZCAT1325-0530 (TDK) 26 104 234 90 360 810
ZCAT1518-0730 (TDK) 18 72 162 55 220 495
フェライトビーズ(大)FB801 18 72 162 68 272 612
フェライトビーズ(小) 15 60 135 35 140 315
フェライトビーズBP53BH4516070M太陽誘電 18 60
フェライトビーズBP53RB05202550M太陽誘電 8.5 32.5
フェライトビーズBP53RA03501024A太陽誘電 7.2 28.7
ZCAT2436-1330 (TDK) 13 52 117 75 300 675
ZCAT1730-0730 (TDK) 13 52 117 75 300 675
スナップオンチョーク 12 48 108 15 60 135
外形35mmX12mm 内径23mmX12mm (43材) 8 32 72 38 152 342
ZCAT2017-0930 (TDK) 6 24 54 50 200 450
MSFC-8シリーズ?
外形19X19X長さ31内径9mmX9mm
JUNK9999/(MEC)
34 136 306 150 600 1350
SFT72S
外形28mmX28X長さ31mm内径12mmX12mm
JUNK9999/(TKK)
36 160
ESD-SR-25
外形28mmX29X長さ32mm内径13mmX13mm
JUNK9999/(TOKIN)角丸
28 135
名無し
外形28mmX29X長さ31mm内径13mmX13mm
JUNK9999/(TOKIN)角角
32 125
韓国ZCAT3035-1330偽物 23 125
CF5KV (RFインクワイアリー) 800(カタログ記載値) 38000(カタログ記載値)
コア測定用ショートリンク100mm 0 10

インピーダンス測定 測定器 Tnx JR5BMM クラニシアンテナインピーダンスメータ

TDK ZCAT3035-1330 簡易測定データ 2015/06/18 追記

周波数 ZCAT3035-1330(一回巻) コア無し(一回巻) コア無し(二回巻)
1.9 78 0 8
3.5 105 2 18
7 150 7 40
14 175 18 125
21 200 30 300
28 200 45 300
50 250 125 300

TDK ZCAT3035-1330 TDK測定グラフ TDK社Webより引用