Eisei Wo Kikuniha

2001/01/18 00:00:00 JA5FNX
衛星を聞くにはどの程度の受信能力が必要か?
皆さん、寒いですね。JA5FNX田村です。
愛媛県八幡浜市は十何年ぶりの大雪でした。
さて、アマチュア衛星を受信するのにはどの程度の受信能力が必要なのでしょう?衛星とは、どんな物かを知るために練習で受信する場合と実際に電波を出してループテストをして交信をする目的で受信する場合とではずいぶん違うと思います。また、実際の交信が目的の場合必ず、自局の受信能力を把握し「実践で交信しても良い程度の受信能力」に達してからループテストを行ってください。

受信能力を把握するためにはアナログ衛星を受信して把握します。
— 練習で受信する程度の受信能力とは? —

衛星から発射されているビーコン電波は結構強力なものです。ビーコンの信号は実際のダウンリンク信号よりは強いのが普通です。一般的にFOやRSの様な円軌道衛星の方がAO‐10/AO‐13/AO‐40等の長楕円軌道の衛星より信号が強力です。

また、「ふじ3号」のデジトーカーの様なものだと大変強力ですのでFMハンディ受信機でも快適に受信できます。RS‐12/13等の21MHz/28MHzのビーコン信号等は適当なHFの受信機に適当なアンテナ(なんと適当)で十分受信することが出来るでしょう。AO‐6の頃はHF帯の衛星信号を受信する場合にもターンスタイルアンテナとプリアンプを付けるのは常識でした。しかし、少しの技術の進歩でしょうか?RS‐12/13時代の受信機ではHF帯のビーコンを受信する場合にはプリアンプなしで十分受かるようです。UHF帯のビーコンをもつ「ふじ3号」等の信号を練習で受ける場合にも特にプリアンプ・ビームアンテナ・仰角装置等の装置は不要と思われます。同軸ケーブルが細い場合・長い場合にはアンテナ直下のプリアンプが必要かもしれませんが練習ですので聞いてみてからにしましょう。また、受信練習の際に『衛星は飛んでいる』と言う事を身をもって体験し、衛星がやってくる時間を知る(衛星がやってくる時間を知るためにパソコンで軌道計算をする等)・衛星の動きとドップラーの関係・自分の受信アンテナから見た衛星へのロケーションの把握等を習得されれば良いと思います。

— 実践で交信しても良い程度の受信能力とは? —

練習で受信するのと実践で交信するのとで何処が違うんやーと言われそうですね。それは、実際に交信する為の受信能力は必ず、自分の出した電波が受信でき、相手の出した電波が受信出来ないといけないのです。受信だけの場合とは少し違いますね。さて、実践で使える受信能力とはどれくらいかを説明します。一口に言うと衛星のトランスポンダが出しているフロアーノイズ(残留雑音)が受信機のノイズレベルより+10db位以上で受信できる能力が必要と言うことです。フロアーノイズと間違えやすいのは、たまたま、その周波数にいてそのままダウンリンクされているFM信号やノイズ等です。本当のフロアーノイズと言うのはアップリンク側が静かな時にダウンリンク側に出ている衛星からのノイズのことです。フロアーノイズの音色は受信機の雑音の音色に近いものですからなれないと区別がつかないかもしれません。

— 衛星のフロアーノイズを雑音と聞き分ける方法は? —

1.アンテナを衛星に向けると雑音が大きくなる
2.衛星には多かれ少なかれフェーディング(QSB)があります。
フロアーノイズも同じ衛星から来る信号ですので
フワ~~~~~~~フワ~~~~~~~っと
フェーディングを感じるでしょう。

衛星のフロアーノイズの特色をつかんで衛星からのノイズを受信し最低でも受信機のノイズレベルより+10db位以上で受信出来るように設備を改善しましょう。+10dbと言われても測定器も持っていないし・・・テスターも無いよーー言ってるのはだれですか?もちろん正確に測定するにはAGCが切れる受信機とテスター等のレベル計が必要です。心配はいりません貴方の受信機にSメータが付いていれば十分です。まず、衛星が見えているとき(衛星からのサーと言うフロアーノイズ)と、見えていない時の(受信機からのサーと言うノイズ)Sメータの差を見てください。(もちろん、衛星が見えている時のSの方が大きいはずです。)その差が2個は必要でしょう。たぶん?一般的にS1個は3db~6db位でしょうその差が二個あれば6db~12dbのフロアーノイズが受信できているのではないかと思います。フロアーノイズより弱い信号はアップリンクできていないと見てよいと思いますので衛星フロアーノイズが6db~12dbで受かるということは衛星からの信号をほぼ全て受信できると思います。もし、ほとんどフロアーノイズが受信できないとか微かにしか受信できない場合は、受信機・アンテナ利得・アンテナ方位・プリアンプ・給電線等を確認改善を行います。特に430MHz以上の周波数帯ではプリアンプの性能や給電線の損失も重要なポイントです。

— 本当に必要なの受信能力とは? —

必要な受信能力は衛星からの実効放射電力(EIRP=effective isotropic radiated power)と受信アンテナ利得・温度/受信機雑音指数(温度)/帯域幅等で決定され最終的にG/T(利得対雑音温度比)によってあらわすことができます。

なお、詳しいG/Tの説明は下記のURLをご覧下さい。
Determination of G/T
衛星通信豆知識
衛星通信システムについて考察する(リンク切れ)

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